夜/
浩一
月が出ている
心のように
かがやいている
孤独のように。
いかがわしい
界隈の
いやらしい曲り角で
片手に
手斧をもった
ドストイエフスキーにであった
「もう何年も
誰とも話をしていないんだ」
「へえ そうかい」
奇遇というものはあるもんだ。
月が出ている
闇をあつめて
橋のうえに いっぽんの
外灯が立っている。
戻る
編
削
Point
(6)