天使/未有花
 
おうか
物憂い君の淋しげな横顔が好きだった

私たちは親しく言葉を交わしたことはなかったが
お互いどこかで気にかけているそんな関係だった

あの黄昏時の振り向いた君の姿が
今でも瞳に焼き付いて離れない

しばらく互いにみつめあっていたが
ぷいと君が顔を背けて行ってしまった時
あれは幻だったのだろうか
君の背中に白い翼を見たような気がした

あれから君の姿はついと見られなくなった
君はどこへ行ってしまったのか
君の姿を求めて今日も私はむなしくさまよっている


   ?

白い雪が空から舞い降りて
僕の炎を消そうとする

体がだんだん冷たくなって
指先が寒さでかじかんできても
この炎は決して消えたりはしない

激しく燃え盛って
すべてを焼き尽くすまで消せはしないんだ

手のひらに舞い降りたはかない命
そっとくちづけると
天使は空へと消えてしまった
戻る   Point(19)