天使/未有花
おうか
物憂い君の淋しげな横顔が好きだった
私たちは親しく言葉を交わしたことはなかったが
お互いどこかで気にかけているそんな関係だった
あの黄昏時の振り向いた君の姿が
今でも瞳に焼き付いて離れない
しばらく互いにみつめあっていたが
ぷいと君が顔を背けて行ってしまった時
あれは幻だったのだろうか
君の背中に白い翼を見たような気がした
あれから君の姿はついと見られなくなった
君はどこへ行ってしまったのか
君の姿を求めて今日も私はむなしくさまよっている
?
白い雪が空から舞い降りて
僕の炎を消そうとする
体がだんだん冷たくなって
指先が寒さでかじかんできても
この炎は決して消えたりはしない
激しく燃え盛って
すべてを焼き尽くすまで消せはしないんだ
手のひらに舞い降りたはかない命
そっとくちづけると
天使は空へと消えてしまった
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