『眠れぬ夜の昔話』/あおい満月
 
眠れない夜に思い出すのは
幼い頃
父や母から聴かされたお話
大人になる度に
お話は大きくなり
物語になっていった
まるで河を登る鯉が
立派な龍になるように

わたしのなかの龍は
今でも鏡の空を舞う

眠れない夜に
これだけは
書き残しておきたいと
開いた携帯電話の眩しさに
哀愁のような
切なさが溢れる

幸せだった過去が
戻るはず
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