彼女の日記〜恋愛Song〜/永乃ゆち
ちゃんと失恋したんだし、また違う道を歩みたいのに。
わたくしここから一歩も動けない。
足元の水たまり。ああ、わたくしの涙ですね。
いつの間に、顔が映るくらいの大きさで
覗いてみれば泣き腫らしたガチャピンのような
女が独り。
「ごめんね」
などとは言わないで。わたくしを憐れまないでいてください。
哀しいけれど、可哀想ではないのです。
あの人に出会った事全てわたくしの財産になり
焦げた心臓、深爪の指、短く切った髪の毛は
全部全部純粋な、あの人への想いなのです。
頭のてっぺんから足の先。あの人が望むものなら全部全部捧げます。
そんな覚悟であの人を見ていたけれどそれさえも
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