彼女の日記〜恋愛Song〜/永乃ゆち
 



『彼女の日記』

背の高い鷲鼻の男は優しい目をしている。

願わくば夢から覚めてあの人の
心も身体も奪い去り、これ見よがしにお揃いの
ストラップなどを持ってきて、それを掲げて大行進。
夢を見ているわたくしは、つま先立ちで踊ります。
泣きたいの泣きたいの。
夢から覚めて現実が押し寄せてくるその合間
あの人の顔が浮かんだら、それで幸せ、それも幸せ。
けれどわたくし正体は、欲深い嘘つきで
あの人の目をまっすぐに見る事さえもかなわない。

夢の世界は真っ白で何もかもが美しい。
そんな世界に浸っては現(うつつ)を遠くに追いやって
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