リリックとして/竜門勇気
 
にか?

自在に操るのは言葉ではなくキーボードで
誰にとっても変わらない価値を持った虚構だ
取った行動はすべて記録されるからと微動だにしない自分の未来は
数センチ開いた窓から注ぐたまの太陽のように冷えている
分かち合った痛みや喜びが今ただ過ぎた時間に起きた瞬きのように
脆く儚い期待の擬態だとしたらどうやって僕はそれを見分けようか
ただその思索のために埋まるノートが
忘却から救い出されている
気の滅入る記憶はシールされ固く封をされ
枯れて砂となるまでの時間を
傷んだ空気と共に過ごすんだ

リリックとして 喋る言葉の合間、それに誰が触るのか
ヒトの、イシってやつなのか、触るのは多分僕だ

リリックとして 選べる選択肢の間に、挟まって動かないなにか
ヒトの、イシってやつなのか?それを選ぼうとしていると気づく


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