馬とオレンジ/吉岡ペペロ
 
あたしはお母さんを待っていた

喫茶店で待っていた

いっしょにお昼を食べる約束をしていたからだ

この近くには乗馬倶楽部がある

あとで乗ってみようか

お母さんがやって来た

オレンジの作業着がぴかぴかだった


お母さんは勘がいい

スポーツも園芸も料理もなんでも出来る

記憶力もバツグンだ

まるで誰かに面白い話をするために

いろんなことして生きてるみたいだ

お母さんの話を聞きながら

今晩裾を直してあげようと思った

針と糸をあやつる自分を想像した

なぜだか馬で駆け巡る気持ちになった

オレンジの作業着のうえで

針と糸をあやつる想像をして楽しんだ

なんどでも馬で駆け巡る気持ちになれた


あたしはお母さんを待っていた

喫茶店で待っていた

いっしょにお昼を食べる約束をしていたからだ

この近くには乗馬倶楽部がある

あとで乗ってみようか

お母さんがやって来た

オレンジの作業着がぴかぴかだった







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