す・うどん/たもつ
交差点で白いす・うどんに呪いをかけている
たくさんのうどん屋の店主
ただひたすらに紙を排出する事務機器の前
笑いすぎて釣り合いがとれなくなった僕の右と左側は
吸い込まれていく 具の無い麺汁の一番奥まったところ
輪転機で刷り込まれた自分の生命に似たものたち
刷り込んで刷り込まれて擦りむいてしまった
僕のまだ幼い脛のあたり
す・うどん もちもちとして 僕を侵食する
魚眼レンズで覗き込む明るい午後はそこはかとなく脱線
いたるところのステイションで僕は列車を乗り換える
食堂車のメニューは上から す・うどん す・うどん
朗読する声も晴れやかに朗らかに軽やかに透明な
[次のページ]
戻る 編 削 Point(9)