石炭/
草野春心
君は唇を震わせる
火を点けたばかりの
赤い輪郭をした石炭を
心の何処かに抱えるように
愛することは愛を傷つけ
悲しむと悲しみは消えてしまう
煙突のないこの部屋で
積みあげた言葉が灰になっても
君は新しい石炭を
虚ろな瞳にくべるだろう
曇天のようなアイ・シャドウを
夕闇の色に染め上げて
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