始まりの物語ー終わらない話/……とある蛙
年の終わりの最後の日
赤褐色の大地に立ち
遠く約束された地に行くことを阻む
北の山の連峰をのぞむ
彼の地の地平線を目指していたはずだが
あまりにも遠方にあることに気づき
今立ち竦んでいる。
終わりの無い話はあっても
始まりの無い物語は無い。
空を見れば混沌とした灰色が渦巻き
一面の褐色の荒野に立ち尽し
絶望の裂け目を垣間見ても
足元にはもう春の気配を感じた草が芽吹いている
土の色にはところどころ緑が交じり
そして、物語が始まる。
突然立ち止まった大地は
遠くヒマラヤ杉の森が霞み
そのさらに遠方
まるで傘のように北の連峰が覆い被さる
足元はゴツゴツし
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