スパティフィラム/
まーつん
窓硝子から流れ込む 午後の陽光に
植木鉢の スパティフィラムが
静かに 溺れていく
凍えた足首を燃やす 電気ストーブ
郵便ポストに忘れられた 年賀状
西向きの食器棚から 背伸びして外を見回す
カットグラス 陶器の平皿 楊枝立て 急須
なだらかな長音階を
ゆったりと降りていく
ピアノの音色 その足取り
時の降り積もる 松張りの床から
去年の記憶の群れが 白い羽を閃かせて
次々に 飛び立っていく 光の海に 溶けていく
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