新春お年玉セット/たま
 
手の掌を舐めている。
今もかすかに森の味がしたのです。



 ぼく

カラスがおまわりさんのような足取りで歩いてきた。
「おい、おい、そこのヒナ」
「えっ・・、ぼくのこと?」
ふり向いた時にはもうぼくはカラスの胃の中にいた。
それからぼくは山をふたつ越えた
柿の木の根元に落とされた。
悪いことをしたのはカラスだよと必死に訴えたけど
柿の木は大きなあくびして
ぼくを肥やしにした。



 夕日

音もたてずに
こっそり憑いてくる
道は真っすぐだったから
ぼくがふり返ると
あいつは
慌てて身を伏せて隠れたつもり

馬鹿だなぁおまえは と
言っ
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