新春お年玉セット/たま
森のお店
青い山が雪化粧をしても、森のお店は開いてます。
ちいさなねずみたちが、ドングリを買いにきます。
ひもじいミミズクが、トカゲのしっぽを買いにきます。
こわい顔したイノシシが、子どもをつれて
さつまいものツルを買いにきます。
「御代はいらないよ」
いつも、お店の奥からおばあさんのやさしい声がしました。
三月のまだまだ雪深い日のことでした。
ひとりの男がお店にやってきたのです。
「おばあさん、今日からぼくが店番をします」
「おやっ、あんた。もう定年になったのかい」
お店の奥からおばあさんの声がしました。
「はい。やっとです」
「そうかい。じゃあ、あとはたのんだ
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