君が走ると/まーつん
 
ぎに行くとき
いつも後をついてきてくれた 忠実な裸足の友 その栗色の眼には
言葉にならない知恵を湛えて 今 少年に最後の 教えを残していった 

ひとひらの 死を  

こけつまろびつしながら 少年は走る
自分を駆り立てている 不思議な感情を見定めようと
初めてそのまなざしは 己の内側に向けられるが
まだ上手く 焦点を合わせられない
君は今日 悲しみを知った

安らかな友の死に顔
靴底にこびりつく土
地平線に歩き去る青空

君は今日 悲しみを知った

戻る   Point(6)