日々の垂れ流し041125/A道化
 
 昨夜、車で、人を轢き殺す夢を見た。昨夜の夢ではなかったかもしれない、一昨夜の夢であった気もする。男なのか女なのか、子供か大人かお年寄りか、そういえば何も覚えていない、どうしてそれを人間だと思ったのかもわからない。ただ、はっとして目が覚めてしばらくの間自分の心臓音に圧されていた。轢いた瞬間だけの短い夢だった。或いは前後を忘れているだけなのか、私にはわからない。とにかく、昨夜の現実でなかったことは確かだ、一昨夜の現実でもない、それは、確かだ。

 新聞紙が、地下鉄の薄汚れた床に滑り落ちる。中年の女の清掃員の手が、それを拾い上げ再び手押し車の既に高い雑誌や新聞紙の堆積の最上部に積む。が、その新聞紙
[次のページ]
戻る   Point(2)