没落/黒川排除 (oldsoup)
私は、目が見えない事を盾に友を見ないふりをしていたのではないかと思い始めた。背後では動物の遠吠えが聞こえている。それは自然だ。弱きは屈するのだ。友もきっと見ないふりをしたのだろう。このしゃがんでいてまるまった背骨を。あるいはそれは今そうなったのだ。友は私を除外した、私も友を勝手に死んだ事にしてしまって面影によりかかっている。もう手遅れだ。そう思った瞬間、私は私の守ってきた姿勢が崩れるのを感じた。ざらざらという音。背中は崖の縁に当たって反り返った。足は中空をもがいていた。
私は子供のように泣いていた。砂のように震えてもいた。
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