没落/黒川排除 (oldsoup)
なだらかな傾斜に砂が眠っている。大地は鳴動していて、薄く積もった砂を底の見えぬ裂け目に呼び込んでいる。空は皆が信じている色だ。私は目が見えないでいる。だが手探りでここまで進んできた。言い訳をしながら、ようやくここに辿り着いたのだ。一緒について来た友人がいたはずだった。私は耳を手のひらで塞いだ。そうして余った指で一生懸命つむじのあたりをまさぐっていた。私は残されたぬくもりを聞こうとしていたのだ。──はやくここに来てくれ。
身体は既に疲労し切っていて緊張を加える事すらできない。痩せ細ったすねに鼠が呻き声を上げながらかじりついている。痛い。流れる血は私には見えない。私は何もしていない。不愉快なもの
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