原わける指/木立 悟
夜の森を照らす川
影が放る光 光
光の轍を曳かれゆく
指の宙
黒い溝
風の下の風
洞を描く
迷いの羽
背中の寒さ
惑いの数だけ
灯はつづきゆく
弾くなといっても弾くものがあり
海はあふれ
水を連れてゆく
空を視て動かない花のかたちに
鳥の骨は横たわっていた
砂の上 聞こえない
足音の群れ
視界をはみ出し たなびく原野を
幾度も幾度も見わたしながら
分け入り よろめき 進みゆく子
かかえきれぬほどの仮面を抱いて
めまぐるしく遠去かる青空を
螺旋の逆に追いつづけ
路上はどこも
口笛と警報に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)