原わける指/木立 悟
 




夜の森を照らす川
影が放る光 光
光の轍を曳かれゆく


指の宙
黒い溝
風の下の風
洞を描く


迷いの羽
背中の寒さ
惑いの数だけ
灯はつづきゆく


弾くなといっても弾くものがあり
海はあふれ
水を連れてゆく


空を視て動かない花のかたちに
鳥の骨は横たわっていた
砂の上 聞こえない
足音の群れ


視界をはみ出し たなびく原野を
幾度も幾度も見わたしながら
分け入り よろめき 進みゆく子
かかえきれぬほどの仮面を抱いて


めまぐるしく遠去かる青空を
螺旋の逆に追いつづけ
路上はどこも
口笛と警報に
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