新しい年も続きを生きる/ただのみきや
 
長年やってきた
自分というものを
衣服のようにスルスルっと
脱ぎ捨てられるなら
別の物語の主人公にも
なれるかもしれないが

すべてを新しくしたつもりでも
自分という本質は変わらない
カウントダウンで変わるのは
年号の数字だけ

心機一転
白紙にもどして
この物語の続きを
同じしがらみを負って生きていこう
誰かの物語の中での役どころは
その誰かに任せておこう

時折
観客席に腰を下ろして
遠い目で自分の人生を眺めたり
誰かの素敵な物語にのめり込んだり
そんなことを
くりかえしながら

そう
熟成されることはあっても
リセットされることなどないのだから



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