路地/はるな
 
い場所まで来てしまった―わたしはかつてもっと明るい草原を歩いていた、濡れ濡れした雨のふるような草原をだ。路地は、しかし導くように続いている。少しずつ角度をつけてひっそりとわたしを誘い続ける。道はますます細く、暗く、なってゆき、選択が減ってゆく、それはわたしが待ち望んだことだ、曲がる、判断を、する間もなく路地が、いきもののように、からからと渇き、雨を食べ続ける、路地、で、ふとガソリンの匂いがした、海の匂いがするはずだった―しかし、よく見えなくなった目をおさえながら、かじかむ足指を引きずって、だんだんとガソリンの匂いの濃くなるほうへ、路地へ導かれて進んでゆく。


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