十二時のしずく/望月 ゆき
 
一日の終わりに
シャワーの蛇口をひねると
十二時のひずみから
しずくが落ちる
窓枠の
カタカタ
と鳴くのもよそに
通り過ぎたのは
秒針で


洗いながしたのは
遠い遠い
約束
落ちたしずくは
皮下深い底へと
滲みて
消える


なにもなかった
かのように
毎日はつづいていく
なにもなかった
わけではない
今日のしずくを
れんけつして


さよなら
またね
さよなら



テールランプみたいに
笑う



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