巡る/Akari Chika
季節は冬から 深い冬へと移行していく。
氷が張る
霜が降りる
陽の傾きが早くなる
その予兆は至る場所で目にすることが出来るが
視界が澄めば澄むほど
思考は閉ざされていくのは何故だろう。
振り返るでも
進むでもなく
意識の檻の中だけで展開する世界に
戸惑いつつ、
ひらめきを泳がせ
想いを馳せる。
夕焼けの美しさに幾度も目を閉じながら
♯♯♯
ある夏
自転車のカゴに枯れ果てた落ち葉が迷い込んだ
灼熱の太陽に似合わぬそれを拾い上げると
音もなく崩れて地面へ消えた。
私は宇宙の裏側で待機しているであろう
遥かの秋を思い出した
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)