通りすがりのひと/恋月 ぴの
 
そういうことだったんだ

気付くことがある


ものごとは複雑に絡み合っていて
原因があって結果がある
そしてその結果が今度は原因となって
新たな出来事を誘発する

「無間地獄」

までは言い切れないにしても




いつもなら横浜の実家に戻り
大晦日は紅白を眺めながら母のとめどない愚痴に付き合い

台所でお雑煮を作る音に目覚めれば
歯を磨きつつ新聞受けに押し込まれた分厚い新聞の束と格闘し
お重に賑やかなお節料理をつまんでみる

どこぞのお節なんだからと母のウンチクに空返事

それでも、ところ狭しと並ぶお正月らしさ
ふたりテーブルに向かい
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