夜想する/メチターチェリ
 
魚しかいないので、話しかけても返事がない。蛸が柔軟なふりをする。深海をゆらゆらわたる脇をかすめてスミを吐く。
抜かれぬためにどうすればいいかというと機敏さが必要です。ヒレ持ちウロコ持ち骨を持たない。が、ふと気づくと海の仲間たち全員と似ていない。游ぐことは許されなかった。

そういう目。区切りのない幻想は地続きでつながっている。圧しつけるとどうせ海があふれるから、閉じていても同じだな。海も大地もなみだのように塩辛い。

ミルクを飲むとねむくなるんだ(安らかにねむろう)。喉がかわいた。って、器物に注がれているのは観念で。咽頭からつま先まで鉄でできている。飲み干すとなつかしい、わたしの味が広がった。
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