戒厳令の冬/
木立 悟
虹の におい
かたちを失くしながら
見えなくなりながら
輪郭は燃える
言えなかった言葉を
言うために
すぐそばに在ることを
告げるために
銀や金や
永さに近い短さたち
肌を流れ
消えるやいなや
哀しい緑に居つづけるもの
冷たさも熱さも
まぶしさも痛みで
尖塔を撫で
空へ空へと
ガラスに昇る手を見つめていた
数え切れない色鉛筆を
ひとりきりのあなたを
見つめていた
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