戒厳令の冬/木立 悟
 




灯から生まれる水が
夜の路を照らす
壊れるほどまぶしく
消し去るほどまぶしく


同じ速さで遠去かり
同じ間隔に並ぶ柱に
隠れては隠れては現われる
互いを互いに映し出す


しゃりしゃりと会話がはじまり
扉をはさみ 明けまでつづく
扉の隙間は
すべて 夜


犠牲によって
円は閉じる
はじかれたものは 野に目覚め
風と波と
光を吸う


どこまでも結びめから離れるもの
つらなりやつづきからは招かれないもの
一万本の色鉛筆で
何人のあなたを描けるだろう


夜は白く外に立ち
窓の生い立ちを読み上げた
隠した手のひら

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