ああるえくうすせぶむ/根岸 薫
そと は
つめたくよどみ
暗い
十一時十五分
ガラスのくもりを 手で拭う
駐車場で
内側から
外側の色彩はさびしい
点滅する蛍光灯
ペンキの剥げた看板『山火■注意』
路肩の手前に生まれた、いくまとまりかの
影
今わたしが
うたっている歌も
(誰の真似もしないように)
あしたの紀元や紀文(ネリモノの事、も
う少しよく教えてあげる約束だった)や、
現在地の話も
もうすぐ
なにもかも
聞こえなくなる
ただし雨のぶつかる音ではなく、
節分に関する恐ろしい逸話は、
まあ今はさけておく
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