お伽話 / 夢のまた夢/beebee
び声に回りを見渡すと
独りだったはずの私は
軍兵の一群に交わり
遠く河口に拡がる湖岸を見つめていた
野営する敵の軍団が見え
おびただしい数の篝火が
遠くの方まで散らばって見えた
敵軍の大きさに動揺が軍兵達に走る
無理だ無謀かとの想いが全員に拡がっていく
その時誰かのつぶやきが聞えた
ジャンヌダルク、と
彼女の歌声が夜空に響いた
みんな注意しろ
悪意ある者が近づいて来る
ファインティングポーズを決めろ
ゴングが鳴る、と
冷たくひえた肌は金属のよう
鈍色に輝き
兜を裂いて大きく開いた瞳は
まなじりを決している
大丈夫
緊張する精神よ
撓められた緊張よ
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