終りの季節/DNA
 
風邪をひき、治ったと思い油断していたら、ぶり返しこじらせ、ここ二三日ベッドから出れずに居る。
紅茶に蜂蜜を阿呆ほど投入し、飲んでいる。からだは温まるが、おそらく風邪が治ったころには、からだに重みを感じるだろう。

ベッドの中で特段することもなく、かといって頭がぼうっとしているため本も読めず、最近読んだ本のことなどを反芻している。

佐藤泰志の『そこのみにて光輝く』('89)をぼくは存外、面白く読んだ。
詩情の季節というものは、おそらく誰にでも到来する。それを青春と呼び換えても良い。
ただ、この季節に足を踏み入れているものは、それが稀有な時間であることに気づくことはない。
目の前にや
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