うわ言のミッド・ナイト/ホロウ・シカエルボク
て
「欠陥はもっともシンプルな表現なんだ」
なんて
馬鹿
二〇年前
街中に溢れた音楽を聴いている
ポップ・ソングは
意外と世代と心中したりしない
世代がそれを忘れてゆくだけで
寝床は疲労を肥やしに描く
未来の様に冷え切っている
しばらく腰を下ろして
溶かしてしまわなければならない
見たい夢などあるわけじゃないけれど
欲しい朝日が迎えられるわけじゃないけれど
睡魔に取り巻かれて上手い言葉を思いつかない
窓の外を最後の路面電車が通り過ぎてから
白けた深夜は約束されている
賑やかな酔っ払いと
けたたましいマフラーのバイク
潜る前にもう一度
指に薬を塗っておかなければ
なんのために治すのだろう
関節に出来たシンプルな表現
悪い魚みたいな赤の色味
名前も知らないギタリストのソロ
今日のおやすみのあいさつは
ババ抜きの
誘いカードのずらしかたみたいで
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