即興(多摩、12月)/
橘あまね
空のひとすじ
とぎれとぎれに
たましいたちの渡り
祝祭の予感が
はりつめて街に灯る
肌をかさねる
こいびとは柑橘の香り
湿り気を母音に換え
いくつも降らせ
打ち上げて
土くれのひとかけら
氷の記憶
くるまれて眠れよ
まだ芽生えぬ種たちに
秘められた歌
幼さを泣きやませて
両足に宿るちからの総量
夜明けと日暮れをつなぐ
真冬の稜線よ
とぎれることなかれ
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