羊毛の絨毯/まーつん
朝の光が 羊毛の絨毯の上にうずくまっている
まるで まぶしい水たまりのように
君は 寝癖だらけの髪のまま
そこに まだ生まれ落ちる前の 思い出を探している
揺れるレースのカーテン 風は優しく
ベランダの花が 色を忘れて 空を見上げている
白く輝く時間が 雨のように 降り注いでくる
テーブル越しに 君の指先を捕まえる
柔らかく 冷たく 命はまだ その身体の中で 燃え盛ってはいない
でも それでいい 僕もまだ パジャマを着替えていないから
ガラスの水差し 不意につかんで
君の頭を 濡らしてみようか
この ひと時を そんな風に 壊してみようか
いや それよりも もう一度 あの砂漠に出かけたい
ベッドに腹ばいに横たわる 君の裸の背中
砂丘を思わせる あの背中に
僕の指先を もう一度
彷徨わせてやりたい
この白く 輝く朝に もう一度
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