安宿/まーつん
 
この口は 冗談が言えない
石切り場のように 殺伐としていて

この目は 花を愛でない
照準器のように ただ狙いをつけて

この指は 傷を縫わない
ナイフのように 切り裂くだけで

おろしたてのシーツのような
お前の 純真
今 それを奪う
この身体 全てを使って

俺の体は古い
そして汚れている
中古のバイクみたいに
力はあるが 黒く排気する
そして この心もまた そうだ

お前のは新しい
つるつるしている
剥きたての卵みたいに
新鮮だが 柔らかく潰れていく
そして その心もまた そうだ

ヤニがついた 壁紙
腐りかけた 電球
受付に立つ 男の
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