グレンチェックの太股 ★/atsuchan69
 
蜜を垂らしたグレンチェックの太股に群がるメタルボディの虫たちは「Ψ」の甲殻に暗い愛を孕んで、野蛮な大顎にまだ温みのあるバニラの薫る【Eggnog】を零したモザイク画の尖塔を咥え、スミレ色の格子のある柄の上をせわしく羽ばたきつづける格子の千鳥――もしくは、黒と赤のハウンドトゥース――が太股から一斉に飛び立つと、残された綾織りの無邪気に毛羽だった茂みに、機械虫「ζ」あるいは別の機械虫「π」の屍骸が横たわっているのがそれとなく判る。しかし虫たちは、太股の向こうにまた別の太股があって夜と昼の境に若い女の泣く声や笑う声がたくさん埋まっているのを微塵も悟ることはなかった。そして一匹の機械虫の屍骸は、千鳥たちの
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