正反対のショートストーリー/AquArium
 
西通りの角で手を振る
ここに辿り着くまでに
3回電話して5回鏡を見た
巻き戻ったストーリー


―深めにかぶった帽子の下
 その凛とした視線の先に
 何が映っているんだろう
 って
 考えてみても分かんないや―


ふと道草したくなるのはお互いさまだけど
君の道草はもはや長旅で
あたしはきっといつも叫ぶことになるんだろう
「ちゃんと戻ってきて」


君が嫌いなトマト
ほろ苦いビールの炭酸
漂うタバコの煙
すべてが愛おしくなる


オレンジの光が揺れて
あたしはトランス状態


完成した写真の出来はどうでもいいの
たまたま同じタイミングで
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