スペースシャトル/フォーカス/茶殻
雪の降る日のテーブルの上に
スペースシャトルが落ちた
私のいくつかの記憶を載せたものだ
それは言葉を発することはなく
極めて無機物的なたたずまいをして
かたまりのままのマーガリンを積むトーストの傍ら
やわらかく重力に寄り添った
私は泣くことも出来た
笑うには穏やかな悲しみがまさっていた
もう一度どこかの惑星に向かうとは思えなかったのだ
かすかな食欲に従い
トーストにシナモンと砂糖をまぶして食べた
薄いめのインスタントコーヒーも飲んだ
それらは徐々に私の体温に馴染んでいった
一通りの食器を片付け新聞を畳むと
真っ青な砂漠の上で
さらにスペースシャトルは目立つよ
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