夜をまたいで/木立 悟
 
蛾の花の音
系統樹には無い
よろこびの跡
進化(まつり)を進化(まつり)に
招きつづけて


雨のなか 光をひろい
帰る場所を捨てていた
橋のむこうには次の橋と
次の夜の子が横たわっていた


冷えた左脚を
浪に向けていた
人は人のまま
灯に帰ることなく
海に落ちる虹を聴いていた
























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