ジグソーパズル/望月 ゆき
 

 夜行列車を乗り継いでもなお、
 昨日の、失われた朝食に追いつけない


   *


 きみのノートの罫の間で、鳥がさえずっている
 文字は、伝えるすべを忘れて
 空中で分解した
 空白を利用して、さみしさを計算すると
 細胞が音をたてて死んでいく


   *


 ひとつのたしかな約束という
 失望、
 朝露が満ちてきて水位があがると、
 不必要な記憶が、溢れて消える
 また泣ける日のために、笑いながら
 ぼくの言葉を拾いあつめる

 
  *


 おいで。



 ピースが整えられた世界で、
 やがて、
 ぼくたちにふりかかるすべては、新しい







詩誌『狼』19号 掲載作品 




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