リバー/アナログ/茶殻
すけべな川魚は岩陰で寄り添い
すべて水泡に帰す愛の歌を歌う
ゆうべ降り続いた嵐で濁る川面
ゆらぐ光は泥にまみれ畳を編む
水のない街で雨を待つアスファルトの灰の色
灰のない街に沈む鉄のタバコの海の底
ナイターが終わり
球場は改めてもぬけの殻になる
忘れ物がある
「夏」とか「少年」とか
およそ取り戻せないものは
忘れられていくに決まっている
平等な遠心力が僕たちにかかってるならば
背中の方にひびが入る仕組みに説明がつく
バックネットを伝って音が登っていく
僕の声が
さまざまなフェンス越しに
粗挽き肉のように咀嚼されることを考える
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