凪の日/まーつん
 
凪の日が 続いている

折り紙で作った
僕の船のモーターは
折り目正しく回転して
たった一人の乗客を乗せた
ぺらっぺらの乗り物を 水色の平面の 先へ先へと 押していく

ああ これほどまでに 平穏な毎日なのに
頭上の空を行く綿雲達が 一瞥もくれずに歩き去るほど
ありきたりな日常という景色に 溶け込んでいるというのに

僕はなぜ 叫びたくなって しまうのだろう
毎日の航海が 順調になればなるほど
この両目は 水平線にたなびく
黒雲の姿を 探してしまう
嵐の 到来を
雹の 襲撃を
待ちわびてしまう

船べりに身を乗り出して
波の奥を覗きこんでも
不吉に忍び寄
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