気持ちいい 穴 さようなら/木屋 亞万
いだに
すっぽりとわたしはおさまっていた
おなかのなかのちいさなせかい
おなかのなかのわたし
そとがわのわたし
わたしはおかあさんのいちぶだった
きもちのいいあなのなか
ちいさなわたし
つぎのわたし
いつかはそこをでていくのだ
いつかはここをでていくのだ
いつでもどこかから
でていかなくてはならないのだ
さようなら
おなかも
おふとんも
おかあさんも
このからだも
さようなら
ときがきたら
さようなら
きもちいい
あな
さようなら
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