燃える島/山人
 
た人もいた
私は椰子に身を隠しながら近寄った
やぐらの人がしたためた唄が島を包んでいる
一心不乱にそれを聞く人の脳がもえる
電球のように燃え上がる脳がやぐらを取り囲んでいる
やぐらの人が手をさしだし、ひかりを持つ人々を次々に引き上げる
やぐらに上がれなかった人は、次々と黒く焼け
焦げた脳がぶすりぶすりと黒煙を吐き出し、静かに死んでいった
地には億千の蟹の群落がうごめきだし焼け焦げた人を海に押しやった
舟の綱をほどき海岸の蟹の絨毯をあとにした
島はやがてめらめらと燃え出し島全体が赤く浮き上がった
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