剣とおじさん/
 

悲しくて悲しくて
忘れることにしたことが
胸の中にはたくさんある
もうさよならをしたんだ
諦めたんだ
だからいいんだ
出かかった言葉は
またもや飲みこまれ
外へと生み出されることはなかった
伝えたかった言葉は
きっと形にすれば
何かを変えられたかもしれない
それでもただ
自分の想いを素直にぶつけることが
怖くて
僕は言葉を飲み込んだ
長い剣を飲み込む大道芸人のおじさんは
ただ無理をしているだけなのか
何事もなかったかのように
涼しい顔でやってのけて
喉の奥は
もしかしたら血だらけなんじゃ
ないかと思う   
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