幻想列車/雅寛
 
音を立てて列車が揺れる。
衰弱しきった僕は不眠症。
僕の隣には幸せそうに眠る君が。
幻想列車は今日も揺れています。

行き先の当ては無く、
鬱屈した乗客達が、
欠伸をかいて眠っている。
ガタゴトガタゴト音を立てて。

雪の中を列車が進む。
君と僕が結ばれた赤い糸。
そっと切れない様に包み込んで。
幻想列車は気紛れです……。

君を乗せて走る列車が、
もう最後なんだねと泣いている。
夢見た僕の恋は叶わず、
妄想だけが膨らんで消えた……。

終点目指して列車が進む。
僕は君の手を握り締めて、
終わる事のない夢を見ている。
幻想列車は憂鬱です……。

真っ白の中を列車が進む。
僕は君を抱き締めて、
叶わない夢を夢見ている。
幻想列車は空虚です……。

―君が泣いていた……。―
―僕は最後まで笑っていた……。―
―最後の言葉は言えなかった……。―
―雪が二人包んでた……。―

幸せそうに列車が揺れる。
君の指には指輪が一つ。
キラキラ光るちっぽけなダイヤ。
幻想列車は今日も揺れています……。
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