はるかなひかり/水町綜助
ろう
洗濯をした午後
いつ
そこに開かれたベランダ
カーテン
同化していく
輪郭とその名前
その前後のない記憶
のようなものの中で
その光をみた気がした
僕は
きみの
すがたを
わすれ
かお
をわすれ
名前を
わすれ
香りをわすれ
ただ
きみの
はっした
はっして
僕がうけた
闇ににた
ひかり
だけを
すべての出来事がかたちを失って
穏やかな静けさに包まれ
きみはただすべて消して
きみも消えて
僕は町を抜けて
白い冬の曇り空をみて
うすい雲が太陽の強すぎるひかりを包んで
白く発光しているのをみて
なんだろう
まぶしいな
これはなんの
ひかりなんだろう
と、つぶやかず思って
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