網タイツの雪おんな/
ただのみきや
やっとのことで仕事を終えて
疲れをしょってバスから降りて
暗い夜道
白い吐息
せかせかと
すると小学校横の歩道を
女が一人こちらへ歩いてくる
――この寒空に網タイツ!
疲れた男が見境なく凝視してしまう
そんな装いの女だった
歩道橋横 ひと気のないあたり
通り過ぎ様に電話の声が
「あんなヤツ 死んだって一銭にもならねェんだよっ! 」
一陣の風 粉雪が渦を巻く
暗い夜道
白い吐息
せかせかと だが
たましいは凍りついたまま
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