白い女の頬を撫でる影/マーブル
頬を撫でる男の手は熱い影でできていて
影ってゆく白い女の左頬を震えた手で包んだ
歓びのあまり震えが止まらなくなると
月の女は夜空に幾千の氷菓子を抱きかかえ
男を待ち焦がれているというのに
宇宙は風穴を開け静寂のうねりのなかで
ハミングするばかりなんだ
わたしのピアスホールは紅く滲んでしまった
左肩が掠めてゆくそして去っていってしまうのは何故なのと
問いつめることは白い女にはできなかった
白い女の首にはムーンストーンのペンダントがぶらついていた
野良猫の足音のように軽やかに音もなく
男の指には漆黒のオニキスが光りを迸ってい
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