泡/まーつん
がり角を 飛び出してきた 車や
一本の動脈に詰まった ちっぽけな不純物の 塊によって
この肉体から 弾き出されて しまったと したら
この重力の くびきから 解き放たれたと したら
僕の魂もまた あの泡の一つのように
喜々として 天を目指して
青空の 階段を
駆けあがっていくのだろうか
砂粒ひとつ 漂うことのない
澄み切った水の中を たわむれながら昇っていく
この 銀色の 吐息のように
館内放送が 虚ろな声をこだませながら
営業時間を 告げている
男は 体を ひるがえし
再び 刺すように乾いた
空気の世界に 舞い戻っていく
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