十二月の童話/salco
しないし
うねる海面へ出るのも苦痛じゃない筈だ
すると同じ姿をしているのに知らん顔同士の連中よりも
やはり交互に声を出して盛んにじゃれ合ったり
いつも庇い合って生活している海豚や鯨の群れが
とりわけ羨ましいのでした。
近寄っても嫌がらない者達もいましたが
そんな鷹揚もほんの気まぐれ
飽きれば尾ひれを一振りで行ってしまいます。
とても追いつけない速度でした。
果てない海だろうもの、どこかにはきっと仲間がいて
長い長い旅をすれば、いつかは巡り会える筈だ
と半魚人は思うのでした。
長い長い旅さえすれば
死ぬまでには巡り会えるだろうか
と思うのでした。
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