酸素/AquArium
の煙が消える前に
脳にたくさんのニコチンを入れて
もう離れられないくらいの
毒で動けないようにしたい
苦手な嘘で撫でている
崩れそうな君のパーツを
必死で集めていることに
気づいた僕は虚しさに笑っている
垣間見た紺屋町通り
秘密の横顔とか薄暗い背中に
しがみつくくらいの力が
僕にあればよかったのか
掴んでもすり抜けていく
それは風のようで
空気のような優しさはない
風は吹かずとも生きていけるだろう
だけど
帰宅途中のすれ違う人並みに
就寝前の真っ暗な瞼の奥に
探しているのは きっと
ロングスカートの裾を踏んでしまう
奇抜なデザインのパンプスで走る
近くを通りがかったふりをする
ただ それだけ
落ち葉がボロボロになっていく
意図しないところで変わるものが多い
そうやって知らない間に
置き去りにされていくのかな
忘れてしまった酸素の吸い方を
どうすれば思い出せるのだろう
君に教えてほしい
痛い 痛い
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